経営理念の伝え方・共有の仕方

「経営理念では飯は食えない」といわれる方がいらっしゃいます。おっしゃる通りです。しかし「経営理念なき会社に永続的な発展なし」もまた事実なのです。経営理念を明らかにしていくためには、次の3つの視点が必要です。そして、これらの考えが社員に充分受け入れられるものかを検討し、共有すべき価値観を理念として明文化していくのです。

  1. 先代(まで)の理念、先代の教え
  2. 現経営者自らの経験と生い立ちの中から得た学びや欲求
  3. 社員や自社を取り巻く人たちに大切にして欲しい考え

これまでもお伝えしてきた通り、経営理念は代々引き継がれ、歴代の承継者の方々のいくたびかの激浪、風雪に耐え抜き、血と汗と涙を伴う百戦錬磨の経験から更に昇華・発展し、磨かれていくものですから、1の視点は非常に重要です。

一方経営理念は、「経営者の熱い思い・信念」なのですから、そこに現経営者が心底情熱を燃やすことができる要素が含まれていなければなりません。それが2の視点です。

3につきましては次の視点を参考にし、現経営者が「私は自分を取り巻く人たちに一体どのような考え方を持って欲しいと願っているのか」を明らかにされると良いでしょう。

価値観の視点

  • 「人生に対して」「家庭・家族に対して」「仕事に対して」
  • 「会社に対して」「お客様に対して」「仕入先・外注先・業者に対して」
  • 「株主・債権者に対して」「社長・経営陣に対して」「幹部・上司に対して」
  • 「同僚・部下に対して」「商品・サービスに対して」「営業に対して」
  • 「人事・組織に対して」「資産・財務に対して」「経営環境に対して」
  • 「地域に対して」「国・地球(環境)に対して」

後継者はここで明確にされた理念の意味を真に理解し、守り、育てていかなければなりません。育てるとは、汗と涙を伴う自らの百戦錬磨の体験を通した学びや欲求を加えていく、という意味です。ここに強固な会社を代々に亘って創り上げていく要諦があります。千年続く経営の第一歩がここにあるのです。