相続財産とは
財産には、相続財産、みなし相続財産、祭祀財産の3種類があります。 ここでは、相続財産について詳しくみていきます。
被相続人(亡くなった方)が相続開始時点(亡くなった時点)で持っていた財産のことを相続財産といいます。この財産には、預貯金や現金、不動産、株式などのプラスの財産のみならず、借金や住宅ローン、未払いの税金などのマイナスの財産すべてが含まれます。ただし、一身専属権といって、法律上、相続人に受け継がれないものもあります。
相続財産については、原則として、相続するか、放棄するかを選択する必要があります。その選択をする期限も決まっているため、できるだけ早い時期に相続財産の全容を掴んでおく必要があります。
財産はだいたいわかっているから、と思って調査を怠っていると、相続人が知り得なかった思わぬ相続財産が判明してトラブルに発展するというケースも珍しくありません。 それがプラスの財産であってもマイナスの財産であっても同様のことが考えられますので、早めに確認しておく必要があります。それでは、プラスの財産、マイナスの財産とはどのようなものなのか、具体的にみていきましょう。
プラスの財産の具体例
不動産 | 宅地、居宅、建物、店舗、事務所、農地、山林など |
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不動産上の権利 | 借地権、借家権、地上権など |
金融資産 | 現金、預貯金、有価証券、小切手、株式、国債、社債、債権、貸付金、売掛金、配当金など |
動産 | 自動車、船舶、家財、骨董品、美術品、貴金属、宝石など |
その他 | ゴルフ会員権、著作権、特許権など |
マイナスの財産の具体例
借金・負債 | 住宅ローン、借金、買掛金、手形債務、振出小切手など |
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公租公課(税金関係) | 未払いの所得税、未払いの住民税、未払いの固定資産税など |
保証債務 | 債務保証したことにより将来発生しうる保証金 |
その他 | 未払いの家賃・地代、未払いの医療費など |
遺産に該当しないもの
前述したように、被相続人が遺した相続財産の中でも、一身専属権といって、法律上、相続人に受け継がれないものもあります。 そのほか、遺産分割できない財産の一例は以下のとおりです。
- 生活保護受給権、財産分与請求権、国家資格、罰金など一身専属的な権利義務
- 香典、弔慰金、葬儀費用、遺族年金、受取人指定のある生命保険など
- 墓地、墓石、霊廟、仏壇、仏具、系譜など(祭祀財産)
相続財産の評価とは?
相続財産についてみてきましたが、実際に相続税を払うとなると、その相続財産の価値を把握しなくてはなりません。 相続税の計算をする際に、相続財産がどのくらいの価値があるかを求める必要がありますが、原則として時価で評価することになります。これは、一般的な取引価格や市場価格とは異なり、税務上の評価額があると考えてください。
相続財産の評価では、財産の種類によって評価額を軽減する特例が設けられている場合もありますし、評価方法によって相続税の評価額が変わってもきます。 そのため、相続財産の評価には、専門的な知識と判断が必要となります。